シカゴのユナイテッド・センターで行われたUFC on FOXのアンダーカードは、MMAのあらゆる魅力を満喫できるものとなった。この日集まったファンの前で、サブミッション、僅差の判定、3Rの派手な殴り合い、そして衝撃的な肘によるKO劇までもが繰り広げられたのだ。
TJ グラント vs. マット・ワイマン
カナダ人のBJJ黒帯のTJ グラントが、ムエタイの技術を駆使して大きなインパクトを残してみせた。この日のプレリミナリー・バウトの最終試合、グラントとマット・ワイマンのライト級好カードは1ラウンド決着となった。
最初の2分間の攻防で有利に立ったのはワイマン。蹴り、スーパーマンパンチ、そして大きな右を出しながら積極的に前に出て行った。しかしクリンチに持ち込んだグラントは、そこから危険な肘と膝を連打して攻撃に転じてゆく。ワイマンをぐらつかせたグラントはさらに前に出る。たまらずワイマンは片足タックルに入るものの、切られて亀の状態に。グラントがサブミッションを仕掛けると、ワイマンも負けずに仕掛け返していった。
1ラウンドも残り一分を切ったところで、グラントはスクランブルの攻防から距離を取って立ち、試合をスタンドに戻す。そこから一気にワイマンをフェンス際に詰めたグラントは、クリンチから膝、そして近距離からのエルボーを二連打!特に二発目がクリーンヒットしてワイマンはマットに沈み、4分51秒で試合は決着した。
グラントはライト級としては未だ無敗。戦績は20勝5敗となった。対するワイマンの連勝は2でストップ。戦績は15勝7敗となった。「ライト級こそ僕の適正階級だと思う。ウェルター級で戦っていた頃は、試合当日には相手の体重差が20パウンドくらいあることもあったからね。もうあんなことはご免だよ。」とグラントは語った。「僕には、155パウンドなら誰とでも渡り合えるだけのスピードとパワーがあると思う。この階級の誰とでも、全員とでも戦える準備ができてるよ。」
クレイ・グイダ vs. 日沖発
この日ユナイテッド・センターに集まったシカゴのファンは、ついに彼らのヒーローの勝利を目撃することができた。地元イリノイ州ラウンドレイク出身のクレイ・グイダがフェザー級デビュー戦を行い、2-1の判定で柔術黒帯の日沖発から勝利したのだ。
会場の「グイダ!グイダ!」の大合唱に乗ったグイダは、試合開始とともにいつも通りのハイテンションにして変則的なリズムで舞う。しかし日沖はそれに動揺することなく、丁寧にボディ打ち、ミドルキック、ジャブを当ててゆく。グイダは残り2分のところでテイクダウンに成功。日沖はすかさず三角締めを仕掛けるものの、グイダは力で逃げる。お互い立とうとする中で、日沖は背後から腕を狙ってゆくがこれも成功せず。両者スタンドに戻ったところで1ラウンドが終了した。
2ラウンドに入っても動き続けるグイダ。対して日沖はアッパーを当ててみせた。しかしグイダはタックルに入って日沖を抱え上げると、そのままマット中央まで移動して豪快なスラム!観衆を沸かせてみせた。下になった日沖は何度も腕を狙いに行くが、そのたびにグイダは力で脱出。日沖がクローズドガードを取ると、グイダは数発のパンチを除いて有効打を打てず、残り30秒のところでレフェリーからスタンドでの再開が命じられた。点を取り返したい日沖はハイキックを放っていった。
3ラウンド。グイダはさらに前に出て行き、テイクダウンにつなげて見せた。日沖はここで再び三角締めと腕十字を狙ってゆくが、グイダは日沖をスラムして脱出。さらに日沖がグイダの腕を狙うと、グイダはハーフガードまでポジションを進めることに成功。日沖はケージ際まで体を持って行って必死に立とうとするが、抑え込みたいグイダと両者譲らない攻防が続く。結局、残り30秒のところでレフェリーがスタンドを命じることに。ここでグイダは試合を決定づけるテイクダウンを狙ってゆくが、日沖に防がれたところで試合終了。
判定は30-27グイダ、29-28グイダ、29-28日沖で2-1でグイダの勝利。これでグイダは30勝10敗。フェザー級デビュー戦を勝利で飾った。片や、潔い態度で敗北を受け入れた日沖は26勝6敗2分けに。「テイクダウンがこれだけ重視される判定基準においては、彼の立派な勝利でしょう。でもファイトとしては自分が勝ったと思います。」と日沖は語った。「判定に不満はありません。僅差の試合だから割れたのでしょう。」
グイダもまた日沖の見方に賛成した。「テイクダウンのおかげで勝てたんだと思うよ。僕はゴムバンドのように張り付いて戦ったんだ。日沖を抑え込んで自分の展開に持って行くのはまったくもって難しかったよ。いいボディも食らったしね。」
グイダの 試合後インタビュー を見てみよう。
マイク・スタンプ vs. パスカル・クラウス
ドイツ出身、デューク・ルーファス門下のパスカル・クラウスが地元のマイク・スタンプをキックボクシングで圧倒、全員30-27の判定で完勝した。
クラウスの長いジャブに対してショートフックを打ってゆくスタンプ、対照的な両者の対戦となった。1ラウンドから打撃戦となったこの試合、クラウスが前蹴りからアッパーなど多彩な攻撃で主導権を握った。スタンプは金網際で組み合って肘を当てた以外は有効打を打てない。
2ラウンドになるとクラウスの打撃が炸裂。スーパーマン・アッパーカットや予測不能のコンビネーションからローにつなぐなど、完全にペースを握る。対するスタンプはテイクダウンに成功するものの、クラウスに立たれてしまう。
3ラウンドも同様の展開が続き、クラウスが打撃で試合を支配。スタンプも必死でテイクダウンを取りに行くものの、ガードを取ったクラウスの下からのエルボーを受ける結果となってしまう。
クラウスはこれで11勝1敗。「僕は2010年からUFCにいてまだ3試合しかしてないけど、今年はさらに3試合したいよ。」とクラウスは語った。「健康で試合をし続けること。僕の望みはそれだけさ。」片や、イリノイ州クリスタルレイク出身のスタンプはこれで11勝4敗となった。
ライアン・ベイダー vs. ウラジミール・マティシェンコ
この日の最初のライトヘビー級の試合は、短期間決着に。ライアン・ベイダーはわずか50秒でウラジミール・マティシェンコからタップを奪ってみせた。
試合開始すぐ、左を当ててマティシェンコをぐらつかせたベイダー。すかさず詰め寄ってダースチョークを仕掛けて一気に試合を決めにかかる。マティシェンコが耐えると、ベイダーは両足をしっかりとマティシェンコの片足にフックして絞り上げて勝負あり。UFCライトヘビー級史上において最短時間での一本勝ちを決めてみせた。
ベイダーはこれがUFCにおける初一本勝ち。UFCでは8勝目、通算では16勝目となり、その3つの敗戦はいずれも現王者や元王者たちとの対戦によるものだ。42才のマティシェンコはこれで26勝7敗。今回は、2011年12月のUFC 141以来の試合だった。
「今回はブラジリアン柔術を特訓して来たんだ。その成果をオクタゴンで出せて嬉しいよ。」とベイダーは言った。「以前の僕はタイトルにとても近いところまで行ったんだけど、そこでリョート(マチダ)にKO負けしてしまった。UFCでは誰もが負けることがある。でもそこから復活できる人間は限られている。僕は絶対復活することを決心したんだ。」
ベイダーの試合後のインタビュー を見てみよう。
マイク・ルソー vs. ショーン・ジョーダン
地元シカゴの警察官であるヘビー級戦士マイク・ルソーは、この日地元で勝利を上げることができなかった。2ラウンド、それまでルソーの攻撃を耐え忍んでいたショーン・ジョーダンが反撃を開始、一気に決着を付けたのだ。
1ラウンド、その身長とサイズを利して優勢に進めたのはルソー。対格差を活かしてプレッシャーをかけ、フェンス際に追い詰めてはアッパーやストレートをヒットさせる。ジョーダンの方は下がって攻撃を受ける一方に。
しかし、やがて両者のスタミナの差が明白になりはじめる。1ラウンドの終盤にはすでに手を膝に当てて休みはじめたルソー。元LSUフットボール選手のジョーダンはこの気に乗じて反撃に。足を使ってコンビネーションを当ててルソーにダメージを与えると、テイクダウンからマウント、そしてバックに。一度は逃げて立ってみせたルソーだが、ジョーダンは再びテイクダウンからマウント、バックを奪ってパンチの雨を降らせて3分48秒、一気に試合を決めてみせた。
トレードマークのバク宙を決めて勝利を喜んだジョーダンはこれで14勝4敗に。「最初のラウンドはまったく大変だったよ。」とジョーダンは語った。「何度か効かされたけど、攻撃をするたびにルソーの上が下がってゆくのが分かったんだ。だから疲れているなと分かった。2ラウンドになると、これはこっちのものだと元気がでてきたよ。」
ルソーはこれで二連敗。戦績は15勝3敗に。「勝てると思ったんだけどね。残念だけどこれがMMAさ。相手にダメージを与えたら確実に仕留めないとね。」
ジョーダンの 試合後インタビュー を見てみよう。
ハファエル・ナタル vs. ショーン・スペンサー
UFCベテランのミドル級戦士ハファエル・ナタルは、この日がUFCデビューとなるショーン・スペンサーから3R見事にタップを奪い、柔術黒帯の実力を見せつけた。
1ラウンドに打撃で主導権を握ったのは、元ゴールデン・グローブ王者のスペンサー。左を当ててナタルからダウンを奪ってみせた。対するナタルは残り30秒でバックブローを当てテイクダウンに成功。そこからマウントを奪って反撃に転じるも時間切れ。
勢い付いたナタルは2ラウンドも攻勢に入る。テイクダウンを奪って上からスペンサーを削っていき、残り40秒のところでバックに付いてみせた。そこからチョークの体勢に入り勝負あったかに見えたが、スペンサーはなんとか耐え切った。「ラウンド終了間際だったからね、あそこで腕力を使い切ってしまいたくなかったんだよ。」と試合後にナタルは語った。「あと10秒あったなら本気で極めにいったけどね。でもあの場面では相手を疲れさせるためにチョークを仕掛けたんだ。次のラウンドで仕留められると思ったからね。」
最終ラウンドでまたしてもテイクダウンに成功したナタルは、グラウンドでスペンサーをコントロールしては肘を当て、さらに腕を極めにかかる。なんとか逃げたスペンサーだが、ナタルがマウントから肩固めに入ると万事休す。2分13秒でタップを余儀なくされた。
ナタルはこれがUFCにおける初の一本勝ち。UFC戦績を3勝2敗1分、通算で14勝4敗1分となった。対して、この試合を二週間足らず前に受けたスペンサーはこれで9勝2敗となった。
ナタルの試合後インタビュー を見てみよう。
シメオン・ソーレンセン vs デイヴィッド・ミッチェル
シカゴで開催されたUFC on FOXの第一試合において、これまで二連敗をしていたデイヴィッド・ミッチェルがノルウェイのシメオン・ソーレンセンから判定勝ち。嬉しいUFC初勝利を上げ、戦績を12勝2敗とした。
激しい打撃戦が繰り広げられた1ラウンド。ジャブやボディを有効に当ててダメージを与えたのはミッッチェルだが、ソーレンセンのほうも左フックを当てるなどして反撃。両者血まみれとなる打ち合いにユナイテッド・センターの観衆が大いに湧いた。
2ラウンドとなると試合はグラウンドへ。上を取ったミッチェルがグラウンド&パウンドにサブミッション狙いを織り交ぜてソーレンセンを削ってゆく。今まで15試合の一本勝ちを飾っているソーレンセンだが、ミッチェルの攻撃の前に防戦一方となった。
3ラウンド。ソーレンセンはローキック等の打撃で反撃をするも、ミッチェルはグラウンドに持ち込んで圧倒。上からパンチとサブミッション狙いでソーレンセンにさらなるダメージを与え、優勢なまま試合を終えた。
判定は3者とも30-27でミッチェルに。「今宵は人生最高の夜さ」ちミッチェルは語った。「長いことUFCでの勝利を追い求めていたんだ。ブルース・バッファーが僕の名前をコールしたときは感極まって、マットにキスしちゃったよ!」対するソーレンセンはこれで二連敗。戦績は17勝4敗1分となった。
TJ グラント vs. マット・ワイマン
カナダ人のBJJ黒帯のTJ グラントが、ムエタイの技術を駆使して大きなインパクトを残してみせた。この日のプレリミナリー・バウトの最終試合、グラントとマット・ワイマンのライト級好カードは1ラウンド決着となった。
最初の2分間の攻防で有利に立ったのはワイマン。蹴り、スーパーマンパンチ、そして大きな右を出しながら積極的に前に出て行った。しかしクリンチに持ち込んだグラントは、そこから危険な肘と膝を連打して攻撃に転じてゆく。ワイマンをぐらつかせたグラントはさらに前に出る。たまらずワイマンは片足タックルに入るものの、切られて亀の状態に。グラントがサブミッションを仕掛けると、ワイマンも負けずに仕掛け返していった。
1ラウンドも残り一分を切ったところで、グラントはスクランブルの攻防から距離を取って立ち、試合をスタンドに戻す。そこから一気にワイマンをフェンス際に詰めたグラントは、クリンチから膝、そして近距離からのエルボーを二連打!特に二発目がクリーンヒットしてワイマンはマットに沈み、4分51秒で試合は決着した。
グラントはライト級としては未だ無敗。戦績は20勝5敗となった。対するワイマンの連勝は2でストップ。戦績は15勝7敗となった。「ライト級こそ僕の適正階級だと思う。ウェルター級で戦っていた頃は、試合当日には相手の体重差が20パウンドくらいあることもあったからね。もうあんなことはご免だよ。」とグラントは語った。「僕には、155パウンドなら誰とでも渡り合えるだけのスピードとパワーがあると思う。この階級の誰とでも、全員とでも戦える準備ができてるよ。」
クレイ・グイダ vs. 日沖発
この日ユナイテッド・センターに集まったシカゴのファンは、ついに彼らのヒーローの勝利を目撃することができた。地元イリノイ州ラウンドレイク出身のクレイ・グイダがフェザー級デビュー戦を行い、2-1の判定で柔術黒帯の日沖発から勝利したのだ。
会場の「グイダ!グイダ!」の大合唱に乗ったグイダは、試合開始とともにいつも通りのハイテンションにして変則的なリズムで舞う。しかし日沖はそれに動揺することなく、丁寧にボディ打ち、ミドルキック、ジャブを当ててゆく。グイダは残り2分のところでテイクダウンに成功。日沖はすかさず三角締めを仕掛けるものの、グイダは力で逃げる。お互い立とうとする中で、日沖は背後から腕を狙ってゆくがこれも成功せず。両者スタンドに戻ったところで1ラウンドが終了した。
2ラウンドに入っても動き続けるグイダ。対して日沖はアッパーを当ててみせた。しかしグイダはタックルに入って日沖を抱え上げると、そのままマット中央まで移動して豪快なスラム!観衆を沸かせてみせた。下になった日沖は何度も腕を狙いに行くが、そのたびにグイダは力で脱出。日沖がクローズドガードを取ると、グイダは数発のパンチを除いて有効打を打てず、残り30秒のところでレフェリーからスタンドでの再開が命じられた。点を取り返したい日沖はハイキックを放っていった。
3ラウンド。グイダはさらに前に出て行き、テイクダウンにつなげて見せた。日沖はここで再び三角締めと腕十字を狙ってゆくが、グイダは日沖をスラムして脱出。さらに日沖がグイダの腕を狙うと、グイダはハーフガードまでポジションを進めることに成功。日沖はケージ際まで体を持って行って必死に立とうとするが、抑え込みたいグイダと両者譲らない攻防が続く。結局、残り30秒のところでレフェリーがスタンドを命じることに。ここでグイダは試合を決定づけるテイクダウンを狙ってゆくが、日沖に防がれたところで試合終了。
判定は30-27グイダ、29-28グイダ、29-28日沖で2-1でグイダの勝利。これでグイダは30勝10敗。フェザー級デビュー戦を勝利で飾った。片や、潔い態度で敗北を受け入れた日沖は26勝6敗2分けに。「テイクダウンがこれだけ重視される判定基準においては、彼の立派な勝利でしょう。でもファイトとしては自分が勝ったと思います。」と日沖は語った。「判定に不満はありません。僅差の試合だから割れたのでしょう。」
グイダもまた日沖の見方に賛成した。「テイクダウンのおかげで勝てたんだと思うよ。僕はゴムバンドのように張り付いて戦ったんだ。日沖を抑え込んで自分の展開に持って行くのはまったくもって難しかったよ。いいボディも食らったしね。」
グイダの 試合後インタビュー を見てみよう。
マイク・スタンプ vs. パスカル・クラウス
ドイツ出身、デューク・ルーファス門下のパスカル・クラウスが地元のマイク・スタンプをキックボクシングで圧倒、全員30-27の判定で完勝した。
クラウスの長いジャブに対してショートフックを打ってゆくスタンプ、対照的な両者の対戦となった。1ラウンドから打撃戦となったこの試合、クラウスが前蹴りからアッパーなど多彩な攻撃で主導権を握った。スタンプは金網際で組み合って肘を当てた以外は有効打を打てない。
2ラウンドになるとクラウスの打撃が炸裂。スーパーマン・アッパーカットや予測不能のコンビネーションからローにつなぐなど、完全にペースを握る。対するスタンプはテイクダウンに成功するものの、クラウスに立たれてしまう。
3ラウンドも同様の展開が続き、クラウスが打撃で試合を支配。スタンプも必死でテイクダウンを取りに行くものの、ガードを取ったクラウスの下からのエルボーを受ける結果となってしまう。
クラウスはこれで11勝1敗。「僕は2010年からUFCにいてまだ3試合しかしてないけど、今年はさらに3試合したいよ。」とクラウスは語った。「健康で試合をし続けること。僕の望みはそれだけさ。」片や、イリノイ州クリスタルレイク出身のスタンプはこれで11勝4敗となった。
ライアン・ベイダー vs. ウラジミール・マティシェンコ
この日の最初のライトヘビー級の試合は、短期間決着に。ライアン・ベイダーはわずか50秒でウラジミール・マティシェンコからタップを奪ってみせた。
試合開始すぐ、左を当ててマティシェンコをぐらつかせたベイダー。すかさず詰め寄ってダースチョークを仕掛けて一気に試合を決めにかかる。マティシェンコが耐えると、ベイダーは両足をしっかりとマティシェンコの片足にフックして絞り上げて勝負あり。UFCライトヘビー級史上において最短時間での一本勝ちを決めてみせた。
ベイダーはこれがUFCにおける初一本勝ち。UFCでは8勝目、通算では16勝目となり、その3つの敗戦はいずれも現王者や元王者たちとの対戦によるものだ。42才のマティシェンコはこれで26勝7敗。今回は、2011年12月のUFC 141以来の試合だった。
「今回はブラジリアン柔術を特訓して来たんだ。その成果をオクタゴンで出せて嬉しいよ。」とベイダーは言った。「以前の僕はタイトルにとても近いところまで行ったんだけど、そこでリョート(マチダ)にKO負けしてしまった。UFCでは誰もが負けることがある。でもそこから復活できる人間は限られている。僕は絶対復活することを決心したんだ。」
ベイダーの試合後のインタビュー を見てみよう。
マイク・ルソー vs. ショーン・ジョーダン
地元シカゴの警察官であるヘビー級戦士マイク・ルソーは、この日地元で勝利を上げることができなかった。2ラウンド、それまでルソーの攻撃を耐え忍んでいたショーン・ジョーダンが反撃を開始、一気に決着を付けたのだ。
1ラウンド、その身長とサイズを利して優勢に進めたのはルソー。対格差を活かしてプレッシャーをかけ、フェンス際に追い詰めてはアッパーやストレートをヒットさせる。ジョーダンの方は下がって攻撃を受ける一方に。
しかし、やがて両者のスタミナの差が明白になりはじめる。1ラウンドの終盤にはすでに手を膝に当てて休みはじめたルソー。元LSUフットボール選手のジョーダンはこの気に乗じて反撃に。足を使ってコンビネーションを当ててルソーにダメージを与えると、テイクダウンからマウント、そしてバックに。一度は逃げて立ってみせたルソーだが、ジョーダンは再びテイクダウンからマウント、バックを奪ってパンチの雨を降らせて3分48秒、一気に試合を決めてみせた。
トレードマークのバク宙を決めて勝利を喜んだジョーダンはこれで14勝4敗に。「最初のラウンドはまったく大変だったよ。」とジョーダンは語った。「何度か効かされたけど、攻撃をするたびにルソーの上が下がってゆくのが分かったんだ。だから疲れているなと分かった。2ラウンドになると、これはこっちのものだと元気がでてきたよ。」
ルソーはこれで二連敗。戦績は15勝3敗に。「勝てると思ったんだけどね。残念だけどこれがMMAさ。相手にダメージを与えたら確実に仕留めないとね。」
ジョーダンの 試合後インタビュー を見てみよう。
ハファエル・ナタル vs. ショーン・スペンサー
UFCベテランのミドル級戦士ハファエル・ナタルは、この日がUFCデビューとなるショーン・スペンサーから3R見事にタップを奪い、柔術黒帯の実力を見せつけた。
1ラウンドに打撃で主導権を握ったのは、元ゴールデン・グローブ王者のスペンサー。左を当ててナタルからダウンを奪ってみせた。対するナタルは残り30秒でバックブローを当てテイクダウンに成功。そこからマウントを奪って反撃に転じるも時間切れ。
勢い付いたナタルは2ラウンドも攻勢に入る。テイクダウンを奪って上からスペンサーを削っていき、残り40秒のところでバックに付いてみせた。そこからチョークの体勢に入り勝負あったかに見えたが、スペンサーはなんとか耐え切った。「ラウンド終了間際だったからね、あそこで腕力を使い切ってしまいたくなかったんだよ。」と試合後にナタルは語った。「あと10秒あったなら本気で極めにいったけどね。でもあの場面では相手を疲れさせるためにチョークを仕掛けたんだ。次のラウンドで仕留められると思ったからね。」
最終ラウンドでまたしてもテイクダウンに成功したナタルは、グラウンドでスペンサーをコントロールしては肘を当て、さらに腕を極めにかかる。なんとか逃げたスペンサーだが、ナタルがマウントから肩固めに入ると万事休す。2分13秒でタップを余儀なくされた。
ナタルはこれがUFCにおける初の一本勝ち。UFC戦績を3勝2敗1分、通算で14勝4敗1分となった。対して、この試合を二週間足らず前に受けたスペンサーはこれで9勝2敗となった。
ナタルの試合後インタビュー を見てみよう。
シメオン・ソーレンセン vs デイヴィッド・ミッチェル
シカゴで開催されたUFC on FOXの第一試合において、これまで二連敗をしていたデイヴィッド・ミッチェルがノルウェイのシメオン・ソーレンセンから判定勝ち。嬉しいUFC初勝利を上げ、戦績を12勝2敗とした。
激しい打撃戦が繰り広げられた1ラウンド。ジャブやボディを有効に当ててダメージを与えたのはミッッチェルだが、ソーレンセンのほうも左フックを当てるなどして反撃。両者血まみれとなる打ち合いにユナイテッド・センターの観衆が大いに湧いた。
2ラウンドとなると試合はグラウンドへ。上を取ったミッチェルがグラウンド&パウンドにサブミッション狙いを織り交ぜてソーレンセンを削ってゆく。今まで15試合の一本勝ちを飾っているソーレンセンだが、ミッチェルの攻撃の前に防戦一方となった。
3ラウンド。ソーレンセンはローキック等の打撃で反撃をするも、ミッチェルはグラウンドに持ち込んで圧倒。上からパンチとサブミッション狙いでソーレンセンにさらなるダメージを与え、優勢なまま試合を終えた。
判定は3者とも30-27でミッチェルに。「今宵は人生最高の夜さ」ちミッチェルは語った。「長いことUFCでの勝利を追い求めていたんだ。ブルース・バッファーが僕の名前をコールしたときは感極まって、マットにキスしちゃったよ!」対するソーレンセンはこれで二連敗。戦績は17勝4敗1分となった。